黒羽藩においては宗旨人別帳として、毎年または数年ごとに藩内各寺院が藩に提出した。それぞれの寺院が、檀徒の各地区五戸から十戸の人別を連記し、判を押させて檀徒全部を組別に何冊にも分けて、一冊ごとに『宗旨証文』として次のように書いて、寺の判を押したのである。この文書は大輪の吉成隆家に現存している。
宗旨証文 大輪村男女帳面之印形通代々拙僧旦那ニ紛無御座候若シ御法度之宗門と申者御座候ハ拙僧罷出何分ニ茂可仕申訳候為後日仍証文如件 青木村
慶応三年卯二月 浄土真宗龍念寺 興野忠右衛門殿
これは所属寺を定めさせ、組百姓立会いのもとに寺印を押捺して寺手形、宗旨手形として、旅行・奉公・寺送りに欠くことの出来ない台帳である。
前記の文書は十五世慈善の書いたものである。